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銀杏観音

銀杏観音(いちょうかんのん)

 昔、駿河の国、阿野の庄(富士市吉原~沼津市今沢辺り)に貧しいながらも幸せに暮らしていた夫婦がいました。その夫婦に玉のような男の子が生まれ、夫婦は大喜びでした。
ところが何日たっても乳が出ず、どうしたものかと困ってしまいました。
 ある晩のこと。母親の夢の中に大きな銀杏の木があらわれ、木の中からまばゆいばかりに輝く観音様が出てきて“門前に大きな銀杏の木がある観音様にお参りしなさい”とお告げがありました。
早速次の朝早く、門前に大きな銀杏のある近くの大泉寺に行き、子供のために私の乳が出るようにと“オン、アロリキャソワカ~”と観音様の「真言」を一心不乱に唱えお願いしました。
それからは夫婦そろって毎朝毎晩おがみ、10日あまりすぎたであろうか。
ある朝眼が覚めると、その母親から乳が出るではないか。早速子供に飲ませると、元気のなかったその子供は急に生き返ってように吸い始めました。
その後、その話を伝え聞いて、土地の人はおろか、近隣の人たちがこの寺を訪れるようになり、いつしか銀杏観音とか子育て観音と呼ばれるようになりました。
今でも大泉寺の門前には大きな銀杏の木があり、木のまわりには乳房のような木の房が数多く垂れ下がっています。
大泉寺の本尊は聖観世音菩薩です。

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